会社を辞めたいのに辞めさせてもらえない
この記事では辞めさせてもらえない11の事例と、解決する方法を具体的にご紹介します
強制労働の禁止や退職の自由、雇用契約の違い、そして具体的な事例を元にした対処法など、あなたが退職を進めるための知識を得ることができます。
この情報を活用することで、あなたは自分の意志を実現し、安心して退職の手続きを進めることができるでしょう。
それでは具体的な内容について一緒に見ていきましょう。
会社を辞めさせてくれない場合の11の事例と対処法
会社を辞めたい時の理由は、以下のようなものがあります。
- 仕事上の悩み
- 人間関係
- 他にやりたい仕事がある
- 会社がブラックで辛い
会社を辞めたい意思表示をしても、上司はあらゆる手段を使ってあなたを引き止めて会社を辞めさせてくれないことがあります。
会社を辞めさせてくれない理由のひとつは、有能なあなたに辞められたら後任の人員補充をしなくてはならないからです。
現在の人手不足の中で経費を使って求人募集しても、採用した新人が即戦力にならなかったら損失が大きくなります。
会社があなたを辞めさせてくれない場合でも、会社を辞めることは必ず出来ます。
安心してください。
具体的な11の事例と対処法で細かく解説します。
退職届が受理されない
上司に退職届を提出しても受取りを拒否されてしまうことや、受け取ったとしても「退職届は預かるが退職は考え直してくれるように」と反対にお願いされてしまうことがあります。
労働者は退職したい旨を使用者に口頭で伝えるだけでいいのですが「言った言わない」「聞いてない」というトラブルはさけたいです。
対処法
郵便局で、退職届を配達証明付きの内容証明郵便で送付しましょう。
内容証明郵便はいつ、いかなる内容の文書を、誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって郵便局が証明してくれる制度です。
もし、会社が内容証明郵便の受け取りを拒否しても、退職の意思表示は届いたと判断される可能性が高いです。
配達証明付きの内容証明郵便で、退職届を提出したことを証明しておいてもらいましょう。
指定された退職日までが長すぎる
会社の方で退職日を指定することがあり、その指定日は社会常識に照らして考えても、あまりにも長くて不当な日数の場合があります。
対処法
そもそも、退職の意思表示をしてから「2週間」あれば退職できます。
会社から2ヶ月や3ヶ月などの不必要に長い退職日を指定されても、それに従う必要はありません。
ただし会社の就業規則に1ヶ月前までに退職を申し出るように書いてあれば、業務の引き継ぎの日数を1ヶ月程度ならば了承してもいいかもしれません。
まずは、会社の就業規則を見て、自分が納得いく日数で退職しましょう。
もし退職日までが長すぎて納得行かなければ、労働基準監督署に相談しましょう。
後任者が見つかるまで待たされる
後任者がなかなか見つからないということで、見つかるまで退職を待って欲しいと言われることがあります。
対処法
後任者が見つかるかどうかは一言でいえば会社の都合です。
ただ100歩譲って考えると、自分が辞めなければ後任者を探す手間は会社になかったことは事実です。
ですが、どうしても辞めたいのであれば、正社員の場合の退職までの期間である、2週間前の告知で辞めることは可能です。
給与を支払わない
会社を辞めるのなら、今働いている分の給料は払わないと言われるケースがあります。
いきなり辞めると会社としても損害を被る場合があるので、その分を給料と相殺する形で給料を支払わないといってくるケースです。
対処法
労働基準法では給料から所得税や健康保険料・雇用保険料などは差し引くことができます。
しかし、働いた分の給料は全額支払わなければなりません。
辞めるのなら、給料を支払わないと言われたなら、労働基準監督署に相談しましょう。
有給休暇の消化を認めない
有給休暇を使って辞めようとしているのに、辞めるのなら有給休暇は使わせないと言われることがあります。
対処法
有給休暇は辞める辞めないに関わらず、労働者が使っていい権利です。
正々堂々と有給休暇を使って辞めましょう。
後任者への引き継ぎがある場合には、有給休暇を取る日付を調整することが求められますが、引き継ぎを速く終わらせて有給休暇は残さないで使いきりましょう。
退職金を支払わない
退職金を支払わないと言われるケースもあります。
対処法
会社に退職金規定があれば、規定に則って退職金は支給しなければなりません。
退職金が支払われないのならば、退職金規定のコピーを取って、迷わず労働基準監督署に相談しましょう。
就業規則に記載のある違約金を請求される
就業規則に違約金の支払いが書いてある場合があります。
対処法
そもそも、退職に伴う違約金を請求することは、就業規則や雇用契約に書いてあっても認められていません。
正社員なら、退職届けを出した日から2週間経過すれば違約金など支払うことなく辞められます。
問題なく退職してください。
損害賠償請求をすると言われる
辞めるのなら損害賠償を請求すると言われる場合があります。
対処法
会社に対して何か損害を与えてしまったのなら、損害賠償をすることもあります。
しかし、さきほどの違約金と同じで退職するからといって損害賠償をする責任はありません。
ただし、無断欠勤をしてそのまま会社に来なくなるなどしたら、会社に損害をあたえることもありえます。
正社員なら最低でも辞めたい日の2週間前までに、退職したい意思を表明しておき、その2週間は無断欠勤せずに辞めましょう。
会社に借入金があるので給料と相殺する
会社に借金をしている場合、最後にもらう給料から差し引くと言われる場合があります。
対処法
給料は全額支払わなくてはなりません。
たとえ借入金があったとしても相殺は出来ません。
借入金があるのなら、給料の支払いとは無関係に別で請求してもらいましょう。
離職票がもらえない
退職が使用者に気に入らないなどの理由で、嫌がらせとして離職票をもらえないことがあります。
対処法
離職票がないと雇用保険が支給されません。
会社が離職票を発行しないのは雇用保険法違反です。
速やかにハローワークに相談してください。
懲戒解雇処分にすると脅される
何もしていないのに懲戒解雇にすると言われる場合があります。
対処法
就業規則に違反して会社に対して大きな損害を与えたのなら、懲戒解雇になる可能性もあります。
普通にただ辞めたいだけの理由で懲戒解雇処分は不当です。
争ったら会社の負けです。
会社を辞めさせてくれない場合には
会社を辞めさせてくれない場合には、会社に労働基準法上最も重い「法定刑」が課せられます。
- 強制労働の禁止
- 労働者の退職は自由
- 雇用契約の期間の定めの有無による退職できる期間の違い
- 会社の就業規則
について解説します。
強制労働の禁止
- 「会社で働きたくない」
- 「辞めたい」
という労働者を保護するために、労働法の労働基準法第5条に強制労働の禁止があります。
労働者の一方的な意思表示により退職の効力が発生し、いつでも自由に辞めることができます。
この労働基準法第5条の規定に違反すると第117条において、労働基準法上最も重い法定刑が定められています。
使用者は「1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金」に処せられます。
労働者の退職は自由
労働者の一方的な意思表示により退職の効力が発生し、いつでも会社を自由に辞めることができます。
会社を辞めさせないという権利は会社にはありません。
ただし、雇用契約の期間の定めの有無により退職できるまでの期間に違いがあります。
雇用契約の期間の定めの有無による退職できる期間の違い
労働者の退職は自由であり、労働者が退職したい旨を告げた時に退職することができます。
ただし、勤務時間・給与・休日などの労働条件を定めた雇用契約の期間の定めの有無により、退職できるまでの期間に違いがあります。
期間の定めのない雇用契約と、期間の定めのある雇用契約を解説します。
期間の定めのない雇用契約
雇用形態別にいう一般的な正社員は、定年までもしくは定年制がない場合は永年勤務できることとして「期間の定めのない雇用契約」を締結しています。
民法では「期間の定めのない雇用契約」では、解約を申し入れてから2週間を経過すれば労働契約は終了することができるとしています。
2週間以内の期間でも強引に退職出来ないことはないですが、その場合には会社から損害賠償を請求されることもあります。
※年俸制の場合には、退職希望日の3ヶ月前までに申し入れる必要があります。
期間の定めのある雇用契約
雇用形態別にいう契約社員や派遣社員などは、3ヶ月や1年間などの期間の定めのある雇用契約をしています。
この場合は、雇用契約の通り該当期間が終了するまでは退職することはできません。
しかし、親の介護や自分の病気や怪我で働くことができないなどの、やむを得ない事由があれば退職が認められることもあります。
※1年以上の雇用契約の場合で、既に1年以上経過しているときには退職できます。
会社の就業規則
会社には独自の就業規則があります。
たとえば「労働者は1ヶ月前に退職を申し出なければならない」などと、民法の2週間より長く規定されている場合があります。
基本的には民法の2週間前が優先されます。
一応会社側の都合も考慮すると、次の担当者の補充や引き継ぎなどで最低1ヶ月くらいは余裕が欲しいでしょう。
筆者がやっていた経理の1ヶ月の流れの中で請求や支払い業務がある仕事では、仕事のサイクル的にも1ヶ月単位で業務が一巡します。
後任者に仕事をうまく引き継ぎするには、就業規則どおりに従って退職するとスムーズに円満退社できます。
しかし、改めて繰り返しますが基本的には民法の規定が優先されるので、2週間前でも大丈夫です。
まとめ
「会社を辞めさせてくれない場合どうする?11の事例と対処法」をご紹介しました。
退職したいときにトラブルにならないように、民法や労働基準法の知識を身につけておきましょう。
当ページに書いてある事例や、その他、納得できないことが起きたらすぐに労働基準監督署やハローワークに相談しましょう。
労働基準監督署やハローワークは、中立公平な立場で是正してくれます。
また、退職時に円満退社ができない、いわゆるブラック企業では、本ページに掲載されている事例が横行しています。
ブラック企業相手だと、自分ひとりでは解決できないことが多いでしょう。
引き止められて退職が難しいけれど、すぐにでも退職したい場合は、退職代行サービスを利用すればすぐにでも退職できます。